雪解けの大山の沢を歩く 伯耆大山 一ノ沢・二ノ沢

鳥取県西伯郡大山町

2015年5月17日(日)  チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈二ノ沢から新緑越しに大山南壁を仰ぐ〉

 

 

 

大山の稜線から雪が消えると、この山域は急に春めいた景観を呈し、

足元の沢も雪解けが進み、その傍らで美しい花々が咲き始める。

その素晴らしい景観を今年も見てみたいと、一ノ沢と二ノ沢を歩いてきた。

絶景を堪能した昨年より一日遅れの訪問であったが、今年の山中は昨年とちょっと違っていた。

 

《山行記録》

一ノ沢入口8:47・・・・9:28治山管理林道終点9:34・・・・9:46一ノ沢・・・・10:11一ノ沢枝沢・・・・一ノ沢源頭部・・・・11:15二ノ沢左俣・・・・11:20枝沢11:29・・・・11:48二俣・・・・12:10右俣ゴルジュ(昼食)12:51・・・・13:10二俣・・・・13:25治山道路出合・・・・13:53二ノ沢入口・・・・14:10一ノ沢入口

〔総所要時間:5時間23分、昼食・休憩等:1時間35分、正味所要時間:3時間48分、歩行距離:6.5q、累積標高差:±835m

 

 8:47 一ノ沢入口

  早暁に広島を発って登山口の大山環状道路の一ノ沢へと長駆した。例年車を停める登山口の対面の駐車場は既に先客で満車状態であった。仕方なく、少し離れた車の通行の邪魔にならない所に愛車を停めた。身支度を整えて治山用道路を採って一ノ沢に沿って登り始めた。落葉松、ミズナラやブナの新緑が晴れ上がった陽光に照らされて美しかった。40分程で森林限界を抜けて、崩落が激しい稜線下の急傾斜地に出た。ここからヘルメットを被った。治山用道路は何箇所も崩落した瓦礫の中に消えていたので、その瓦礫の中を怖々と渡り、最後は灌木で覆い尽くされた道路跡を抜けると一ノ沢の源頭部に出た。

 

 

〈先客で満杯だった一ノ沢の駐車場〉

〈大山環状道路に面した登山口から入山〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈落葉松の林の中を暫し登る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈やがてミズナラ、ブナの森となる〉

 

 

 

 

〈やや荒れた治山用道路を登り行く〉

〈登り行くと樹間に南壁が見えてくる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈森林限界を過ぎると険しい南壁が姿を現した〉

 

 

 

 

〈険しい斜面に治山用道路が続くが、この先で崩落で寸断されていた〉

〈瓦礫の中に咲くダイセンキスミレ〉

 

 

 9:46 一ノ沢出合

  たけのこ岩の下に拡がる一ノ沢の源頭部は広大なザレ場であるが、その無機質な広がりは一大絶景でもある。そのザレ場には上の壁からの落石が多く、横切る際には十分な注意が必要である。その沢の左岸の下部から枝沢が上に延びており、この先に進むにはこの枝沢を辿るのが最も楽である。とは言え、その枝沢には2段の砂防堰堤が築かれていて、それを乗り越えねばならない。昨年はその右岸のブッシュの中に入ってそこを抜け出すのに難渋したので、今回はブッシュの中に入らずに、2つの堰堤の直ぐ下の右岸を登って巻くこととしてみた。沢の雪は昨年に比べて極端に少なかった。2つの堰堤の下には、踏み跡もあってあまり苦労することなく越えることが出来た。出たところはザレ場と草付きの混在する枝沢の源頭部であった。草付きには春の花々が咲き、休憩を取るには持って来いのところであったが、その左右両側のザレ場には頭上の岩壁から次から次に乾いた音を立てて落石が続き、とても安閑とはしておられなかった。花々は昨年に比べると随分と開花が早ったようで、既に花期の最終盤といった感じであった。今年は4月の雨が多かったこともあって雪渓の雪も随分と少なく、山域全体が早足に次の季節への歩みを続けているようであった。暫しの休憩の後で、ザレ場を横切って、左岸の二ノ沢との間の灌木帯に突っ込んだ。そこの薮を漕いで二ノ沢左俣へと出た。

 

 

 

 

 

 

 

〈一ノ沢に出合って、その源頭部を仰ぐ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈たけのこ岩が不気味な一ノ沢の源頭〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈二段の砂防堰堤が続く枝沢を遡行する〉

〈ここは薮に入って堰堤を越える〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈枝沢に出てその源頭部を見上げる〉

 

 

 

 

〈草地にアカモノが咲き始めていた〉

〈イワカガミの花が盛りを迎えていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈これぞとばかりに咲いたイワカガミ〉

 

 

 

 

〈一ノ沢から二ノ沢へのブッシュの中に咲くダイセンキスミレ〉

〈タチツボスミレの大群落もあった〉

 

 

 

〈ブッシュの頂点から一ノ沢の枝沢を振り返る〉

〈なかなかに厳しい薮漕ぎが続く〉

 

 

11:15 二ノ沢左俣出合

  二ノ沢左俣の源頭部は雪が少なかった。昨年は沢全体が雪に覆われていたが、今年はごく一部に残る程度で、大半は砂礫が出ていた。これだけ雪が少ないと枝沢に入れはサンカヨウや山菜がもう姿を現しているだろうと思って入ってみると、雪の融けた所にはサンカヨウのお花畑が広がりもう花が開き始めていた。ここのサンカヨウは葉っぱも花も大きくなかなかに見応えがある。雪渓の直ぐ脇には小さくて可愛い幼芽の健気な姿もあった。二ノ沢左俣から右俣への乗越を辿って二俣に出て、そこから右俣を遡ってこの日最後の見所である右俣ゴルジュへと登って行った。

 

 

 

 

 

 

 

〈二ノ沢左俣の源頭部〉

 

 

 

 

〈枝沢に入ると、雪が融けた後にサンカヨウの群落が広がっていた〉

〈可憐なサンカヨウの花〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈サンカヨウのお花畑〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈サンカヨウの幼芽〉

 

 

 

 

〈二ノ沢左俣を振り返る〉

〈二ノ沢右俣が分岐する二俣付近を俯瞰する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈二ノ沢左俣から右俣へと乗り越す登山道に咲くダイセンミツバツツジ〉

 

 

      〈足元にはイワカガミが群落があった〉

 

 

 

 

〈二俣から二ノ沢右俣を仰ぐ〉

〈右俣の堰堤を巻く斜面に拡がるタチツボスミレの群落〉

 

 

 

〈オオカメノキも開花!〉

〈二ノ沢右俣ゴルジュが姿を現した!〉

 

 

12:10〜12:51 二ノ沢右俣ゴルジュ

  右俣ゴルジュに続く二ノ沢右俣の雪も少なかった。アイゼンを持参していたがそれを使う必要もなかった。落石が心配ではあったが、忽ちはその気配も音もなかったのでゴルジュの中へと歩を進めてみた。今年は随分と大きな氷の塊がゴルジュを塞ぐように陣取っていた。近付くに連れて、その氷塊の大きさが実感出来るようになった。その塊は側面や底部などが氷解を始めており、岩との間には大きな空間が出来ていた。開いた口は見るからに不気味であった。とてもその頂点には近づけないなと思っている頃にどこかで落石の音がしてドキリとした。大した落石ではなかったようであったが、それを期にそれ以上進みことを止めて踵を返した。沢の真ん中の砂礫の高い所で昼食を摂ることとした。

 

 

 

 

 

 

 

〈今年は沢に雪が少なく、砂礫を踏んでゴルジュへアプローチ!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈残雪が堆積したゴルジュの内部〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈残雪を踏んでゴルジュ内部に接近〉

 

 

  〈雪のブロックの先端はスノーブリッジ状態〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この穴に落ちると無事に生還は出来そうにない!!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ゴルジュから二ノ沢右俣を見下ろす〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈落石が数多転がる二ノ沢右俣〉

 

 

 

 

〈雪渓の脇にはフキノトウが芽吹く〉

〈岩壁と新緑〉

 

 

13:10 二俣

  昼食を終えて左俣との分岐である二俣へと下った。二俣からは二ノ沢本流の左岸沿いの灌木帯に入って踏み跡を辿った。二俣から15分ほどで治山用道路に出合った。下る程に振り向けば、新緑の森越しに大山の南壁が見事であった。午後2時前に大山環状道路に出た。右俣ゴルジュからちょうど1時間経過していた。

 

 

〈二ノ沢右俣から二俣付近を見下ろす〉

〈エンレイソウ〉

 

 

 

〈初々しいサンカヨウ〉

〈地味そうで、その実は可憐なサンカヨウの花〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈河原を一面黄色に染めたミヤマキケマンの群落〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈新緑の森越しに大山南壁を仰ぐ〉

 

 

 

 

〈豪勢に咲き揃ったタチツボスミレ〉

〈沢沿いの草叢に咲くクルマムグラ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大山環状道路の二ノ沢入口に下山〉

 

 

 

14:10 一ノ沢入口

  大山環状道路を二ノ沢入口から車を停めた一ノ沢入口近くまで歩いて帰還した。そこから今年も鍵掛峠と御机に立ち寄って大山南壁の絶景を眺望してから、広島への帰路に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大山環状道路の一ノ沢の落ち口から南壁を見上げる〉

 

 

 

〈環状道路を一ノ沢入口へ移動〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈下山後に鍵掛峠から大山南壁を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈御机集落から大山南壁を遠望する〉

 

 

 

〔山行所感〕

  景観と花々を求めて、今年も大山南壁下を巡る山行を楽しむことが出来た。この春の雨の多い天気や花々の早い開花で、山の姿は例年とはちょっと違ったものになっていた。伯耆大山という大きな自然の中に身を置いてみると、この変異も何かの摂理に基づいたもので、それに人間か抗うことは許されないことと素直に受け入れることが出来る。今年の春もこの大自然の中で意義深い一日を過ごすことが出来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

 

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