ヒキジのオカから那須へ 十方山(1,318.9m)
広島県廿日市市吉和町・同県山県郡安芸太田町
2015年5月24日〈日〉 S山の会10名(門久が参加)
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〈新緑のヒキジのオカを登り行く〉 |
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山の会の例会山行に参加して十方山を歩いてきた。
十方山々域をよりよく知ろうという企画の4月12日(日)に次いで第2回目の山行であった。
今回のルートは、南側の立岩ダムサイトから大谷川に入り、ヒキジのオカの尾根を辿って山上に達し、
下山は那須ルートを採るというものであった。
その内の核心部はヒキジのオカの登攀であったのは勿論のことであった。
《山行記録》
立岩ダム9:00・・・・9:12大谷川(おおだにごう)入渓・・・・10:06イシノ小屋10:16・・・・10:39尾根上10:42・・・・11:21休憩11:28・・・・11:40標高1,013mポイント(小屋跡)11:44・・・・12:22休憩12:27・・・・12:33堆積した熊の糞12:34・・・・13:02登山道出合・・・・13:12十方山(1,318.9m)(昼食)13:51・・・・13:58論所・・・・14:08奥三ツ倉(1,322m)・・・・14:20那須分れ・・・・14:22前三ツ倉(1,312m)・・・・14:36藤十郎(1,192m)14:40・・・・15:29那須登山口 〔総所要時間:6時間29分、昼食・休憩等:1時間13分、正味所要時間:5時間16分、歩行距離:10.0q、累積標高差:+1,212m、-1,053m〕 |
9:00 立岩ダム
十方山那須登山口に車を一台置き、立岩ダムサイトへと回りそこから山行をスタートした。湖岸の車道を大谷川(おおだにごう)の河口まで歩き、そこから入渓した。丸石が転がる渓流の右岸を辿り始めたが、歩き易いところを求めて時に右に左に石の上を渡った。やがて右岸にはっきりとした踏み跡が現れてそこを辿ることとなった。かつて杣道があったと聞きているがその跡であろうか。ヒキジのオカの尾根の始点となる左谷との出合点までの約1キロメートルの渓流は、概してゴーロの河床と浅いゴルジュ帯が交互に出現する谷間であった。ゴルジュには小滝が懸かっており、そこは高みを巻いて越えた。登山靴などごく普通の山行の装備で難なく遡行出来た。
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〈立岩ダムサイトからスタート〉 |
〈大谷川(おおだにごう)に入渓する〉 |
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〈早速にコケイランが姿を現した〉 |
〈飛び石をしながら沢を詰めて行く〉 |
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〈フタリシズカ〉 |
〈渓流の右岸に踏み跡が続いていた〉 |
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〈ゴルジュはその上を巻いて越える〉 |
〈ラショウモンカズラ〉 |
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〈この山域の渓流に多いベンケイソウ科の花はヒメレンゲのよう〉 |
〈タニギキョウ〉 |
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〈左右に渡渉を繰り返しながら上り行く〉 |
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〈小滝の下流部を渡渉〉 |
〈小さなゴルジュはその右岸を高巻く〉 |
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〈大岩の下は潜れず子の左手の右岸を巻いて越えた〉 |
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〈急傾斜面を下って河床に下る〉 |
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〈左谷との出合付近の大谷川〉 |
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〈大谷川に流れ込む左谷の滝〉 |
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10:06〜10:16 イシノ小屋
左谷が大谷川に流れ落ちる合流地点は狭いながらも平らに整地されているようであった。桑原良敏氏の「西中国山地」ではこの地点をイシノ小屋と呼んでいる。かつてここに小屋があったのであろうか。イシノ小屋で大休憩を取ってから、いよいよこの日の核心であるヒキジのオカの尾根へ取り付くこととなった。ヒキジのオカへの取り付きは、左からも右からも高い崖が切り立っており、どこが順路か全く分らなかった。左谷側の方が上り易そうであったのでそちら側に道を求めたが、懸崖の隙間の草付きを縫うようにして崖を登って行くしかなかった。時に起こる落石が怖かった。それでも30分足らずの時間をかけて全員が尾根上に出た時には笑顔に包まれた。その先は暫く左右が切り立った馬の背の尾根であったが、やがて広い尾根となり、新緑が滴る下生えの少ない尾根筋を一部急登を交えながらも快調に上って行った。
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〈イシノ小屋で大休憩〉 |
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〈イシノ小屋の上の尾根筋は厳しい懸崖で囲まれていた〉 |
〈懸崖の隙間の草付きを縫うようにして登り行く〉 |
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〈馬の背の尾根筋を登り行く〉 |
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〈30分弱の登攀で尾根上に上がれた〉 |
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〈難所突破の後には広々とした尾根筋となった〉 |
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〈新緑の滴る尾根筋を快調に登る〉 |
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〈ギンリョウソウ〉 |
〈桧交じりの尾根筋となった!〉 |
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11:40〜11:44 標高1,013mポイント
ヒキジのオカの尾根に入って1時間半足らずでそのほぼ中間地点の標高1,013メートルポイントに到達した。尾根筋の樹林の中ながらも平らになった一画であった。小休止を取っていると、その足元のあちこちに古い壜が転がっているのに気付いた。ここにはかつて杣小屋があったのであろう、そに生活痕と思えた。ここを過ぎて直ぐの急登を越えると、後は大した困難もなく薮を漕いで登山道に出ることが出来るようであった。標高差500メートル程の急登はちょっと厳しかったが、その先は足元の笹が段々と深くなっては来たものの難なく進んで行くことが出来た。かなり登って、標高1200メートル地点でブナの古木の根元に堆積した熊の糞を見付けた。改めてここが彼らの生息領域であることを思い出した。古い糞であったが、この周辺が彼らの餌場となる時期には、また舞い戻ってくるのは間違いない。山頂まで標高差で100メートル程となり、樹間から山頂部も見えるようになり、稜線部の笹原に出て粘っこい笹を漕いで進んで行くと瀬戸滝方面からの登山道に出た。3時間足らずの薮漕ぎから解放された。十方山山頂までは至近の所であった。
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〈平らな標高1,013mポイントで休憩〉 |
〈杣小屋でもあったのだろうか、一升瓶が沢山転がっていた〉 |
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〈新緑の美しいブナやミズナラの混交林が広がる〉 |
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〈ブナの古木を目に付いてきた〉 |
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〈笹がやや濃くなってきたミズナラの林を行く〉 |
〈この尾根最後の急傾斜面の薮を漕いで登る〉 |
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〈苦労の後に広々とした尾根に出た〉 |
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〈根元に古い熊の糞が堆積していたブナの樹〉 |
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〈樹間から十方山の山頂が覗いた〉 |
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〈濃い笹薮を漕いで進む!〉 |
〈稜線部の登山道はもう近い筈!!〉 |
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〈振り返れば西中国山頂の名峰の大眺望が広がっていた〉 |
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〈稜線部に出てきた!〉 |
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〈瀬戸滝からの登山道に出た〉 |
〈十方山々頂はもう直ぐ先!!〉 |
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〈レンゲツツジがお出迎え!〉 |
〈チゴユリも路傍に咲く〉 |
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13:12〜13:51 十方山(1,318.9m)
山頂の広場は大勢の登山者で賑やかであったが、我々が昼食を摂っている間に、我々以外には誰もいなくなってしまった。午後1時を回っての山頂への到着というのは、一般登山者の時間感からは外れているということであろう。この日の核心部を通過した安心感から、比較的にゆっくりと昼食を摂ることが出来た。40分程のランチライムを終えて、ユキザサの群落が美しい内黒峠への登山道を採って下山の途に就くこととした。
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〈市間山、立岩山の背後遙か先に瀬戸内海も望めた〉 |
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〈十方山々頂〉 |
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〈昼食後、那須に向けて下山開始〉 |
〈路傍にはユキザサの群落が続いていた〉 |
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〈論所〉 |
〈奥三ツ倉を通過〉 |
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14:20 那須分れ
那須分れで内黒峠への北尾根ルートを外れて那須へのルートに入った。前三ツ倉のピークを越えて藤十郎への下りに入ると、笹が被さった踏み跡を辿ることとなったが、それは苦になるほど深い笹でもなかった。藤十郎の山域にかかるといつもながらにのびやかな森が広がっており、気持ち良く歩けた。藤十郎の山域を外れて、那須へ下る急な尾根道に入ると、一気に高度を下げて行った。瘤の樹のある尾根上からウラオレ谷側に下ると、那須登山口は遠くなかった。
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〈那須分れから直ぐの前三ツ倉のピーク〉 |
〈背の高い笹が被さった踏み跡を下り行く〉 |
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〈のびやかな稜線上の踏み跡を辿る〉 |
〈藤十郎のピーク〉 |
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〈藤十郎のピークに立つ橡の古木〉 |
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〈藤十郎の高みからは急坂の尾根を一気に下る〉 |
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〈尾根筋の下にある名物の瘤の樹〉 |
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〈谷筋に咲いていたヤグルマソウ〉 |
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15:29 那須登山口
朝方車1台を配車してあった那須登山口へ全員無事に下山した。イシノ小屋からヒキジのオカへの取り付きに難渋したことから、予定時間に30分遅れての下山であったが、ほぼ順調な山行であったと言えよう。この後、登山口の立岩ダムで車をピックアップしてからまたここに戻り全員で帰路に就くという作業が残っていた。
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〈那須登山口に下山〉 |
〈那須登山口の駐車場〉 |
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〔山行所感〕
十方山へのバリエーションルートとしてヒキジのオカの尾根を初めて歩いた。かつては森林関係者が辿る道が大谷川から延びていたとは聞くが、実に深い森で野趣豊かなところであった。今日でも薄い踏み跡が残っているようで、我々のような物好きな登山者が時折歩くところとなっているのであろう。稜線部に近付くほどに粘っこい笹薮漕ぎとなるが、それを除けばあまり苦になるルートでもなかった。良い経験が出来た一日であった。
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〈この日の軌跡〉 |
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