ベニドウダン咲く奥山を訪ねる 黒ダキ山(1,084.8m)
広島県廿日市市吉和
2015年6月7日(日) チャコ&門久
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〈青葉繁る樹々越しに奥深き峰・黒ダキ山を垣間見る〉 |
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梅雨入り直後の晴れ間の日曜日、
折角の好天なので、ベニドウダンが咲くという西中国山地の奥山の黒ダキ山を訪ねてみることにした。
今春は大方の花々の花期が早いので、黒ダキ山のベニドウダンも終わっているかもと懸念しながら出掛けた。
その場合は、まあ奥山を歩くことを楽しむほかはあるまいと・・・、これも楽しみにしての山行であった。
《山行記録》
立野キャンプ場8:38・・・・8:40橋・・・・8:55カーブミラー・・・・9:02カーブミラー・・・・9:45テンガタキ谷9:46・・・・9:50支尾根取付点10:00・・・・10:53主尾根合流点・・・・10:56灰皿・・・・11:11灰皿(前ピーク)・・・11:51黒ダキ山(1,084.8m)11:53・・・・12:12仏石12:15・・・・12:35黒ダキ山(1,084.8m)(昼食)13:12・・・・13:44灰皿(前ピーク)・・・・14:00灰皿(主尾根離れる)・・・・14:41支尾根取付点・・・・14:47テンガタキ谷・・・・15:24カーブミラー・・・・15:30カーブミラー・・・・15:46立野キャンプ場 〔総所要時間:7時間08分、昼食・休憩等:0時間53分、正味所要時間:6時間15分、歩行距離:10.7q、累積標高差:±1,171m〕 |
8:38 立野キャンプ場
早朝に広島の自宅を出て吉和の立野キャンプ場へ車を走らせた。梅雨時とは言え前日も好天であったので、3組のキャンパーが朝食の準備中であった。キャンプ場の駐車場に車を停めて登山開始。キャンプ場の先の細見谷に架かる橋を渡って荒れた下山林道に入った。物好きな登山者や渓流歩きの人達が辿るのであろう、細い踏み跡が草や笹、それに落石や瓦礫に覆われた林道に続いていた。林道は左側に深い谷を落とす細見谷に沿って曲折しながら谷の奥へと続いていた。約1時間10分林道を遡り、林道が大きく曲折してテンガタキ谷を越えたところで、この日の実質的な登山口である支尾根への取り付き点に出合った。
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〈立野キャンプ場からスタート〉 |
〈細見谷に架かる橋を渡って下山林道へ〉 |
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〈林道跡に踏み跡が続く〉 |
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〈すっかり朽ちたカーブミラー〉 |
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〈落石に埋め尽くされた下山林道〉 |
〈ここには瓦礫が堆積〉 |
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〈ここは樹林に還りつつあるようだ〉 |
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〈テンガタキ谷、支尾根取付点はもう近い〉 |
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9:50〜10:00 支尾根取付点
支尾根への取付点には沢山のマーキングがあった。そこから滑り落ちそうな急傾斜面で尾根筋に上がって行くようであった。危なげなロープも張ってあったが、これは頼らない方が良いようであった。取付点を上がると樹林の中を登り行く綺麗な踏み跡が続いていた。ここでタヌキに遭遇した。最初の標高差100メートル程はややきつい傾斜であったが、その先で支尾根に完全に乗ると緩やかな尾根筋に変わった。尾根は笹を被っており、その笹を掻き分けて快調に登って行った。ブナやミズナラなどの尾根を覆う林は緑を増して美しかった。左手のクロダキ谷を挟んだ先に樹間から黒ダキ山のシルエットを望むことが出来た。支尾根を登ること50分ほどで傾斜がややきつくなり、笹の背丈も深くなったなと感じたが、その直ぐ先で主尾根との合流点に出た。
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〈テープが沢山付けられた支尾根取り付き点〉 |
〈取付点の急傾斜面を上がると尾根筋に踏み跡が続く〉 |
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〈標高800メートルを越えて支尾根上に上がると笹を被った緩やかな尾根が続く〉 |
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〈豊穣の森〉 |
〈キツツキの悪戯か!?〉 |
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〈笹を掻き分けながら支尾根を登り行く〉 |
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10:53 主尾根合流点
主尾根との合流点は標高1000メートル足らずの広々とした樹林の中の笹原であった。支尾根の取付点からは標高差300メートル足らず上ってきたことなる。そこによく写真で見る赤い筒状の広島営林署が設置した灰皿があった。合流点付近の広々とした林を抜けて馬の背のように細い岩の尾根を辿って標高1040メートル程の岩の峰へと上って行った。その山上にも紅い灰皿があった。黒ダキ山はまだその先であるので、この岩峰は黒ダキ山の前峰のような格好であった。この前峰辺りからベニドウダンが現れても良い筈なのだが、なかなかそれが現れなかった。もう完全に落花してしまったのかと諦めかけた頃に、何とか枝先に残ったベニドウダンの花に出逢えた。前峰の瀬戸谷の断崖の上辺りの尾根筋であった。山の神のご慈悲か、樹の先にまだたわわに咲いたベニドウダンにも巡り会えた。その辺りを外れると、もうベニドウダンは殆ど見ることが出来なったので、やはり哀れに思った神のご慈悲であったのであろう。ベニドウダンを辛うじて見ることが出来て気を良くし、尾根筋を覆うブッシュを掻き分けて進む元気も百倍となって、まだまだ先であった黒ダキ山の山頂へと邁進して行った。
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〈美しい樹林の広がる主尾根との合流点付近〉 |
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〈笹原の中に灰皿が現れる〉 |
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〈主尾根に乗って暫く馬ノ背の尾根を行く〉 |
〈標高1000mを超えた岩峰にも灰皿が〉 |
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〈岩峰の前峰でベニドウダンに出逢えた〉 |
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〈頭上の高みに咲き残っていたベニドウダン〉 |
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〈山の神のご慈悲で残っていたベニドウダン〉 |
〈花期が早ったベニドウダンは殆ど散ってしまっていた〉 |
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〈深い瀬戸谷の先に十方山が横たわる〉 |
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〈樹林の陰に咲くササユリ〉 |
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〈背丈を超えるブッシュを掻き分けて進む〉 |
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11:51〜11:53 黒ダキ山(1,084.8m)
背丈より高いブッシュの中を、その茂みを掻き分けながら進むといく行為は気持ちをも疲れさせるものであったが、その辛苦に耐えて歩き通して主尾根に乗ってから約1時間を要して黒ダキ山の山頂に到達出来た。何の眺望もない尾根筋のブッシュの中に、猫の額程の空間が拓かれ、そこに三等三角点と赤い灰皿があるだけの極めて散文的なところであった。ランチタイムを取るにはちょうど良い時間であったが、ここで休んでしまうとその先の仏石へ行く気力も消沈してしまいそうであったので、ここはもうひと頑張りと気力を喚起して一気に仏石を目指すこととした。黒ダキ山々頂の周りのちょっと厳しげなブッシュを抜けると、涼しげな尾根筋に踏み跡が続いており、40〜50メートル下る鞍部越えはあったものの山頂から片道20分弱で仏石に到達出来た。
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〈黒ダキ山々頂:猫の額ほどの地面が拓かれていた〉 |
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〈三等三角点が建つ〉 |
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〈灌木と足元の笹を掻き分けて尾根筋を進む〉 |
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〈山頂から仏石まで足を延ばすことに・・・〉 |
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12:12〜12:15 仏石
この日の予定はここ仏石まであった。高さ5メートルほどの岩塔が尾根筋の林の中に屹立しており、厳しい尾根筋を辿って来た者には、神々しい景観を呈していた。尾根筋に続いてきた踏み跡はここ仏石までであった。この先へ行く場合は、かなりの薮漕ぎの覚悟がいるようであった。仏石を拝めば目的達成で、早々に引き返すこととした。20分で黒ダキ山々頂に戻りランチタイムとした。山頂の空間は、二人が座れば満杯であった。30分余の昼食の後は、上り来た道を下った。黒ダキ山々頂から支尾根取付点まで2時間弱の往路に対して、1時間半弱の時間で下った。復路は周りの景色や花々を楽しむ余裕があった。
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〈黒ダキ山から20分弱で仏石に出合った〉 |
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〈尾根の樹林の中に立つ仏石〉 |
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〈仏石から黒ダキ山々頂に戻りランチタイム〉 |
〈食後、ブッシュを掻き分けて下山開始〉 |
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〈稜線上から南方向に吉和冠山、寂地山の山塊を望む〉 |
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〈瀬戸谷越しに十方山をもう一度眺める〉 |
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〈十方山の南に市間山、立岩山の山塊が構える〉 |
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〈コツクバネウツギ〉 |
〈ナルコユリ〉 |
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〈ヤマツツジ〉 |
〈ここにもササユリが咲く〉 |
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〈笹が被った支尾根筋を下る〉 |
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〈笹原の中の灰皿、ここから支尾根を下る〉 |
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14:41 支尾根取付点
支尾根取付点まで下ってくると、あとは下山林道を辿って立野キャンプ場に戻るだけであった。往きには周りにも用心深く注意を払って歩いたが、復りは意外とのびのびと歩けた。この日、朝に立野キャンプ場を出た後は人っ子一人会わなかったが、下山林道を下っていると後ろから追っ掛けて来る釣り人らしき人の姿があった。それが何と旧知のOさんであった。単独で細見谷を釣行し、釣果も十分であったとのこと。足運びの軽いOさんに先に行ってもらい、我々は疲れた足を労りながら林道の踏み跡を辿って行った。
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〈支尾根への取付点に下った〉 |
〈笹に覆われた下山林道〉 |
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〈ミズタピラコ〉 |
〈コバノフユイチゴ(別名:マルバフユイチゴ)〉 |
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〈林道上の青葉繁る森は美しい〉 |
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〈今も残るガードレール〉 |
〈コガクウツギ〉 |
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15:46 立野キャンプ場
支尾根取付点から1時間余歩いて立野キャンプ場に帰り着いた。朝方いたキャンパーの姿はなく、テントもなかった。朝方は青空が見えていたが、我々が山にいた間はほぼ曇空となってちょっと悲しい想いをした。こうして下ってくるとまた陽が射してきたようであった。とは言え、長い山行を無事の終えたことに感謝しつつ帰路に就くこととした。
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〈立野キャンプ場近くの細見谷の渓流〉 |
〈立野キャンプ場〉 |
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〔山行所感〕
ベニドウダンを求めての奥山探訪であったが、大方の花々の花期が前倒しとなった今春、ベニドウダンも同様で今回の訪問は遅きに失したようであった。山の神のご慈悲で少しばかりではあったが何とか花を見ることが出来たが、いつか厳しい尾根筋を飾る満開のベニドウダンの群落を見てみたいと思う。この山域は西中国山地の奥山中の奥山である。花が駄目ならという訳ではないが、この奥山を楽しむ方法は他にも沢山ある。黒ダキ山を中心に考えても、多くの縦走ルートや薮漕ぎルートが描ける。いつか、それらにもチャレンジ出来たら楽しいだろうと思う。
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〈この日の軌跡〉 |
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