植生豊かな山域を楽しむ 三ツ峠山(1,785.2m)

山梨県南都留郡富士河口湖町・西桂町

2015年6月20日(土)〜21日(日)   門久が参加

 

 

 

 

 

 

〈三ツ峠山は多くの花々に恵まれた山であった〉

 

 

 

富士山を望める三ツ峠山で希少植物を見に行かないかと誘われた。

中国地方では絶対に見られないような花々が咲いているという。

ボランティアで保護活動のお手伝いを行いながら保護区域内の希少植物を見ることが出来るということのようであった。

得難き機会であるので一緒に出掛けることとした。

 

 

==〈第1日(6月20日(土)〉==

 

東麓の須走から朝焼けの富士山を仰ぐ

 

静岡県小山町須走に前泊した。

朝目覚めると好天で山頂部がモルゲンロートに染まった富士山を仰ぐことが出来た。

ただ、夜明け直後には下り坂の天気を示す笠雲が山頂部を覆っていた。

さて、これはこの日一日の好天を約束してくれる朝の好天なのであろうか・・・・!?

 

 

 

 

 

 

 

〈山頂がモルゲンロートに輝く富士山〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ふじあざみラインから富士山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈梅雨時で富士山周辺の天気は不安定なようだ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヤマボウシ咲く富士山東麓〉

 

 

 

 

河口浅間神社

 

富士吉田の街から三ツ峠山登山口に移動する途中に、

河口浅間神社に参拝した。

老杉の繁る静謐な境内であった。

 

 

 

 

 

 

 

〈河口浅間神社参道〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈杉の巨木が林立する境内〉

 

 

 

 

三ツ峠山に登る

 

「山の自由人」のN川さんと車で広島を発ち、

この日の朝東京からバスでやって来たO村さんと富士急富士山駅で合流した。

河口浅間神社から国道137号線、新御坂トンネル入口の手前から御坂みち(旧道)に入って三ツ峠登山口を目指した。

数ある三ツ峠山への登山道のうちで、最も一般的な最短のルートという。

 

《山行記録》

駐車場所9:07・・・・9:09登山口・・・・9:49ベンチ10:03・・・・10:38三ツ峠山荘10:48・・・・10:53四季楽園・・・・11:01御巣鷹山分岐・・・・11:18御巣鷹山(1,775m)11:22・・・・11:32三ツ峠山頂方面分岐・・・・11:52開運山(1,785.2m)11:55・・・・12:03四季楽園・・・・12:08三ツ峰山荘(昼食)12:59・・・・13:35(草取り作業)15:24・・・・15:46三ツ峠山荘16:10・・・・16:20屏風岩下16:21・・・・16:36三ツ峠山荘

 

9:09 登山口

  篭坂峠を越えて静岡県から山梨県に入って以降ずっと霧が垂れ込めた天気が続き富士山は一度も姿を現さなかった。須走の好天から峠を一つ越えるだけでこんなに天気は変わるものなのであろうかと想わず愚痴りたくなるほどであった。三ツ峠登山口は既に標高1300メートルであった。登山口の駐車場は満杯で、近くの林道の路側に車を停めた。この登山口から山頂部にある山小屋まで管理道が続いており、その道を登って行くという。歩き始めると、よく整備された管理道で、如何にも都会に近い人気の山という感じであった。山頂部近くからガスは巻かれているようで時にそのガスが下りてきて管理道に流れた。登り行くに従って、路傍を飾る花々が多くなって行った。富士山の眺望と岩登りの大ゲレンデで有名なこの山であるが、また希少植物などの植生の豊かな山としても名を馳せている山であることを実感させてくれるようになって行った。  

 

 

〈三ツ峠山登山口〉

〈トイレ棟のある登山口広場〉

 

 

 

〈管理同が山頂部まで延びている〉

〈中間点のベンチ近くの道標〉

 

 

10:38〜10:53 三ツ峠山荘

  登山口から1時間半でこの日の集合場所でありまた宿でもある三ツ峠山荘に到着した。小屋の前が河口湖越しに富士山を望む好展望台だということであったが、濃い霧に巻かれて一切の眺望はなかった。自然保護活動の集合時間の正午までまだ時間があったので小屋に荷物を置かせてもらって山頂部を逍遥してみることにした。三ツ峠山というのは、山頂部にある御巣鷹山(1,775m,)、開運山(1,785.2m)、木無山(1,732m)の3つのピークの総称とのことで、先ずはこのうちの御巣鷹山を目指すこととした。もう一つの山小屋の四季楽園の背後に陣取る御巣鷹山の山頂には無粋な鉄塔が建っている風であったが、近付くまでそれは霧の中に隠れて姿を見ることはなかった。鉄塔以外に何もない御巣鷹山を後にして、最高峰の開運山へと向かった。この二つのピークをつなぐ稜線には希少植物の保護地区もあり、実に多くの花々を目にすることが出来た。

 

 

〈三ツ峠山荘〉

〈山荘の直ぐ先の広場〉

 

 

 

〈四季楽園〉

〈御巣鷹山の山頂に建つ鉄塔〉

 

 

 

〈最高峰の開運山を望む〉

〈御巣鷹山への分岐に立つ道標〉

 

 

11:52〜11:55 開運山(1,785.2m)

  「三ツ峠」の山名標の建つ開運山の山頂には大勢の登山者の姿があった。三ツ峠山の最高峰である。好天であれば、富士山や河口湖の大眺望を眺めながらのランチタイムなのであろうが、生憎の真っ白のガスに包まれた世界であった。三ツ峠山荘への集合時間が迫っていたので、早々に山頂を発って小屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈山頂で憩う大勢の登山者〉

 

 

 

〈最高峰の開運山々頂〉

 

 

 

〈山頂部はガスに包まれて眺望なし〉〉

〈甲府方面のガスが少しばかり開けた〉

 

 

 

〈開運山の南壁がクライマー憧れの屏風岩〉

〈四季楽園の先にガスが開けた御巣鷹山を望む〉

 

 

12:08〜12:59 三ツ峠山荘

  小屋に戻って自然保護団体の人達と昼食を摂ってから、希少植物の保護活動を行うこととなった。三ツ峠山の山頂部の広範なエリアに鹿避けの柵が設けられており、その中にテンニンソウが異常繁茂して希少植物などを駆逐しそうなことから、テンニンソウを刈り採る作業をここ何年も続けているという。この日も山頂部の一画でその作業をすることとなり、柵の鍵を開けて中に入った。鹿避けの柵に鍵が掛かっているということは、鹿以外にも侵入して欲しくないということであろう。成る程、柵の中の葉陰に希少植物の花が数多見られた。2時間程草取りに励んだ後、地元の方々の案内を得て柵内の希少植物の観察会となった。きちんと保護してやると、希少植物たちもきちんと育って美しい花を咲かせていた。

 

 

〈作業を終えて自然観察中のメンバー〉

〈鹿避けのこんな柵が縦横に設けられている〉

 

 

15:46〜16:10 三ツ峠山荘

  草取りの作業を終えて小屋戻った。午後遅くになって山上の霧は一段と濃くなってきていた。 まだ早い時間であったので、岩登りのゲレンデの屏風岩へ下っていく断崖の途中にあるという希少植物を見に行くこととなり、霧に巻かれた断崖に付けられた山道を下って行った。行けどもその植物は見付からぬままに屏風岩の足元まで下った。高く広大なその岩登りのゲレンデも濃い霧に包まれていて、ほんの10メートル先も見えない状況であった。その濃霧の中でも、クライミングに取り組んでいるグループの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

〈屏風岩の足元から岩壁を仰いでみたが濃いガスで様子分らず〉

 

 

 

16:36 三ツ峠山荘

  屏風岩から小屋に戻り、部屋に落ち着いた。午後6時前から夕食となり、食後にはちょとした懇親会となり、自己紹介を兼ねた皆さんの活動状況の報告をお聞きした。実に奥深く、意義のある活動を展開しておられることがよく分った。懇親会後には、希少植物保護活動の歴史を纏めたDVDなどを見て、午後9時過ぎに解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

〈夕刻、三ツ峠山荘もガスに包まれていた〉

 

 

 

 

==〈第2日(6月21日(日)〉==

 

 

《山行記録》

三ツ峠山荘8:40・・・・8:53(保護柵設置作業)9:30・・・・9:55三ツ峠山荘10:11・・・・10:38ベンチ10:42・・・・10:47山道分岐・・・・10:57林道出合・・・・10:59登山口11:02・・・・11:04駐車場所

 

 8:40 三ツ峠山荘

  早暁午前5時半過ぎに、「富士山が見えるぞ!」と言う声に外に出てみると、雲の間に富士山が山頂直下から裾野の中程まで姿を現していた。それもものの数分間で、三ツ峠山を包むガスに巻かれて姿が見えなくなった。午前8時からの朝食を摂ってから、この日の作業となり、小一時間開運山々頂に近い登山道沿いの数か所に、植物保護区域内に踏み入らないよう保護柵を設けた。

 

 

〈朝の三ツ峠山荘〉

〈ガスの切れ間に富士吉田の街が見えた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈早暁の束の間、富士山が姿を現した〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈屏風岩上部を望む〉

 

 

 

 9:55〜10:11 三ツ峠山荘

   朝の作業を終えてから小屋に戻った。この日は山梨県の山岳連盟の皆さんが50名近く登って来て草取りの作業などをしてくれるということで、我々はそれに交替する形で下山することとなった。午前10時過ぎに下山に掛かった。登って来た道を引き返す形になったが、中間どころのベンチ辺りで雨が降り始め、雨具を着ての下山となった。

 

 

〈午前10時前にこの日の作業部隊が到着〉

〈前日に登ってきた林道を下り行く〉

 

 

10:59 登山口

  ベンチで雨具を着ている間に、グループと離れてしまった。急ぎ後を追ったが、途中で管理道をショートカットする山道に気付いたのでそこに入った。幾段かそれを繰り返していると、最後は管理道から大きく離れた尾根筋を下って行く形になった。明らかに登った道ではなかったが、方向に間違いはなかったのでそのまま下って行くと、管理道を辿っていたグループの先頭と同時に登山口近くに出ることが出来た。尾根通しのショートカットルートを下ったようであった。

 

 

 

三ツ峠山で出逢った花々

 

希少植物保護のお手伝いの山行ではあったが、

山域を歩く中で、実に数多くの花々や植物に出逢うことが出来た。

この山は豊かな植生に満ちたところであることをよく理解出来た山行となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈コゴメウツギ(バラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヒメムヨウラン(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)

 

 

 

 

 

 

 

 

〈クサタチバナ(ガガイモ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈グンナイキンポウゲ(キンポウゲ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈サラサドウダン(ツツジ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヤマツツジ(ツツジ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈アヤメ(アヤメ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ユキザサ(ユリ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈アツモリソウ(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ベニバナツクバネウツギ(スイカズラ科〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈サンショウバラ(バラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈キバナウツギ(スイカズラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈マイヅルソウ(ユリ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈カモメラン(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈シロバナカモメソウ(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈シロフウリンツツジ(ツツジ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈エゾノタチツボスミレ(スミレ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈シロバナエゾノタチツボスミレ(スミレ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈クルマバツクバネソウ(ユリ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヤマドリゼンマイ(ゼンマイ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈キバナノヤマオダマキ(キンポウゲ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヤブウツギ(スイカズラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈アオチドリ(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈レンゲショウマ(蕾)(キンポウゲ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ツルシロカネソウ(キンポウゲ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈グンナイキンポウゲ(キンポウゲ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈マユミ(蕾)(ニシキギ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈マタタビ(マタタビ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈クジャクシダ(ホウライシダ科〉〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ササバギンラン(ラン科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ササバギンラン(ラン科)〉

 

 

〔山行所感〕

  富士山の眺望、岩登りの殿堂として有名な三ツ峠山の別の魅力は希少植物を含む植物の宝庫であることであろう。梅雨時の僅か2日間をこの山中で過ごしてその一端を見てみて、それが偽りではないことを実感することが出来た。それらの植物を盗掘から、また獣害から護る活動を展開しておられる皆様の貴重な活動の一端も見せて頂き大きな感銘を受けた。この活動が益々大きなうねりとなって、大きく結実することを願わずにはおれない。またお手伝い出来る日が来るようであれば、喜んで再訪させて戴きたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

2日間の軌跡〉

 

 

 

 

〔BACK〕

〔HOME〕