ガスで閉ざされた梅雨時の山域を歩く 皿ヶ嶺(1,278m)

愛媛県東温市

2015年6月22日(月)    門久単独

 

 

 

 

 

 

〈霧に包まれた風穴に咲くヒマラヤの青い芥子〉

 

 

 

三ツ峠山から帰宅した翌日のこの日早朝に広島の自宅を発って愛媛へ。

その午後、やりたい事が数多あったものの、風穴の青い芥子やお花畑の様子が気になって皿ヶ嶺へと車を走らせた。

麓から仰ぐ皿ヶ嶺は厚い霧に包まれて姿がなかったが、雨に変わる心配はなさそうだったので山行を決行した。

 

《山行記録》

 

風穴下15:02・・・・15:04風穴15:10・・・・15:23直登道分岐15:25・・・・15:55ベンチのある休憩所・・・・16:05竜神平分岐・・・・16:10竜神平16:13・・・・16:32北尾根三差路・・・・17:15直登道分岐・・・・17:25風穴・・・・17:27風穴下  

〔総所要時間:2時間25分、休憩等:0時間11分、正味所要時間2時間14分、歩行距離:5.0q、累積標高差:±427m

 

15:02 風穴下

  風穴直下まで車を乗り入れて路側に停めた。森林公園々地の駐車場と風穴下の路側にはそれぞれ1台の車が停められていたが、そのどちらの車の持ち主もちょうど下山して来ているところであった。静かな山中を先ずは風穴へと赴いた。風穴の冷気が湿度の高い山の空気に混じって霧となって吹き出していた。その穴の中に見事に花開いた10輪ばかりのヒマラヤの青い芥子が並んでいた。株を傷めないように注意しながら穴の中に降りて行って写真を撮らせてもらった。濃い霧をバックにして咲く青い芥子は神秘的であった。一箇所に長居は出来ないので早々に風穴を発って竜神平へと向かうこととした。霧は一段と濃くなってきたようで、林の中は薄暗くさえあった。薄暗い斜面のお花畑に蕾を付け始めたギンバイソウの群落が広がっていた。これからギンバイソウの季節が始まることになるのだ。

 

 

〈梅雨の皿ヶ嶺は濃いガスの中〉

〈冷気が霧となって風穴から吹き出す〉

 

 

 

〈風穴の中でヒマラヤの青い芥子が揃い咲き〉

〈寄り添うように咲く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈花弁をいっぱいに張って咲く〉

 

 

 

 

〈ガスに巻かれた登山口周辺の樹林〉

〈ギンバイソウ(ユキノシタ科)の蕾〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈濃霧に巻かれて薄暗い登山道を登り行く〉

 

 

 

15:23 直登道分岐

  急斜面にジグザグを描く登山道を上がって行き、直登道を右に見送って竜神平へ向かう北面の巻き道を進んだ。北面斜面を覆う霧は相変わらず濃かった。その霧に巻かれた登山道沿いには初夏の花々が咲き始めていた。ギンバイソウのほか、ヤマアジサイ、アカショウマ、クサアジサイといったユキノシタ科の花々が多いのは梅雨時ならばこそであろうか。ヤマトウバナが群落をなし自己主張しているかのようだ。サワルリソウも小さいながらもしっかりとした花を咲かせて路傍を飾り始めていた。長い巻き道を辿って木製ベンチのある休憩所を過ぎるとブナの密集した尾根筋にかかった。濃霧の中にシルエットとなった四国のブナの樹は大きく枝を広げて形になっていて楽しかった。そこまで登って来ると竜神平は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この日は竜神平を目指す〉

 

 

            〈モミジウリノキ(ウリノキ科)

 

 

 

〈ヤマアジサイ(ユキノシタ科)が咲き始め〉

〈サワルリソウ(ムラサキ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈霧に包まれた登山道〉

〈アカショウマ(ユキノシタ科)

 

 

 

〈ギンバイソウの道〉

〈コゴメウツギ(バラ科)〉

 

 

 

〈ヤマトウバナ(シソ科)

〈コガクウツギ(ユキノシタ科〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈クサアジサイ(ユキノシタ科)

 

 

          〈ツルアジサイ(ユキノシタ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この地味な花は?〉

 

 

 

〈ベンチのある休憩所〉

 

 

 

〈ヤマシグレ(スイカズラ科)

〈霧の中にシルエットとなったブナ〉

 

 

16:10〜16:13 竜神平

  午後4時を過ぎた竜神平に人影はなかった。北面の斜面から少し離れるともう霧は巻いておらず、広々とした湿原を見渡すことが出来た。原っぱの隅っこにはもう7月が近いというのにまだウツギの白い花が咲いていた。夏の湿原を飾る花々にはまだ早過ぎる季節であるので、早々に竜神平を横切って隣接する樹林へと入って行った。原っぱに咲くササユリはまだ蕾であった。赤松の樹の多い樹林に入ると、林のあちこちでヤマツツジが紅い花を開いていた。緑色が濃くなって行く林の中を下生えのヤマツツジが紅く染めるシーンは、梅雨時の光度不足の林の中を明るくしてくれて、例年見る度にハッとさせてくれる大好きな景観である。そのヤマツツジを追うようにして林を横切って行った。

 

 

〈竜神平に祀られる龍神社〉

〈ウツギ(別名:ウノハナ)(ユキノシタ科)

 

 

 

〈ガマズミ(スイカズラ科)

〈ノアザミ(キク科)

 

 

 

 

 

 

 

 

〈竜神平〉

 

 

 

 

〈ササユリ(ユリ科)はまだ蕾〉

〈ヤマツツジ(ツツジ科)咲く樹林へと入る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈樹林のあちこちでヤマツツジが満開!〉

 

 

 

 

〈紅いツツジを見るとついシャッターを切ってしまう!〉

〈タンナサワフタギ(ハイノキ科)

 

 

16:32 北尾根道三差路

  樹林を抜けて上林峠か上がってくる尾根道に出合った。もう午後4時半であったので、ここを左に採って尾根道を風穴方面に戻ることとした。よく踏まれた登山道を辿って行くと、直ぐに北斜面を覆っている霧の中へと再び入って行った。霧は一段と濃くなって行っているようであった。つい先ほど辿った竜神平への道を左に見送ると、上り来た道を引き返す形になった。頭上には樹々のシルエットが霧の中に浮かび、足元には初夏の花々が咲き始めていた。濃霧の中の登山道を風穴近くの登山口へとドンドンと下って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈北尾根を辿って風穴への下山の途に〉

 

 

                 〈尾根上の登山道〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈北壁は濃いガスに包まれていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈四国のブナの樹は面白い形状をしている〉

 

 

 

 

〈濃霧に巻かれた登山道を下り行く〉

〈ナガバモミジイチゴ(バラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈サワルリソウ(ムラサキ科)〉

 

 

             〈ナワシロイチゴ(バラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ミズナラの古木も濃霧に包まれる〉

 

 

 

 

17:27 風穴下

  午後5時半近くになって、風穴も濃い霧に飲み込まれるように霞んでいた。穴の中では、それでもヒマラヤの青い芥子だけが生気に満ちて咲いていた。このまま天気は下り坂となって、夜分には雨になるようであった。

 

 

〈霧に巻かれた風穴〉

〈完全にガスに飲み込まれた皿ヶ嶺〉

 

 

〔山行所感〕

  生憎と濃霧に覆われた皿ヶ嶺であったが、雨にはならずに、霧の中に咲く花々や樹々のシルエットを見ることが出来て楽しい逍遥となった。濃霧の中に浮かび漂うような花々や植物たちは非日常の景観で、神秘さをも感じさせてくれた。こんな日にも山を歩く価値が存分にあることを改めて気付かせてくれた半日であった。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

〔BACK〕

〔HOME〕