紅葉の中腹、ガスと烈風の山頂部 岩手山(2,038m)

岩手県滝沢市・岩手県岩手郡雫石町

2015年9月29日(火)  チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

                     〈紅葉した岩手山の稜線越しに広大な北上盆地を望む〉

 

 

 

今年も紅葉の東北の山を巡る旅に出た。

前々日の夕刻に広島の自宅を出ての長駆のドライブの末に麓に辿り着いた鳥海山へこの日は登る計画であったが、

庄内地方は生憎の曇天の天気予報で、急遽晴天の予報が出た岩手山へと転戦することとした。

秋の東北地方の山は天気に泣かされることが多いが、

この日は好天下の紅葉を楽しみながらの登山を始めることが出来た。

だがしかし、山頂部まで登って思わぬ逆境に遭遇することとなってしまった。

 

《山行記録》

馬返し駐車場6:43・・・・6:46馬返し登山口6:51・・・・7:03改め所・・・・7:21 〇・五合目・・・・7:37一合目7:43・・・・8:06二・五合目・・・・8:20新道三合目・・・・8:39新道四合目・・・・9:06新道五合目9:10・・・・9:41新道六合目9:43・・・・10:11雨具装着10:19・・・・10:22七合目・・・・10:32八合目避難小屋10:42・・・・10:58不動平11:01・・・・11:17八合目避難小屋11:24・・・・11:34七合目・・・・12:02新道6合目(昼食)12:31・・・・12:53新道5合目(衣類調整)13:01・・・・13:20新道4合目・・・・13:33新道3合目・・・・13:45二・五合目・・・・14:06一合目・・・・14:21〇・五合目・・・・14:49馬返し登山口14:55・・・・14:59馬返し駐車場 

〔総所要時間:8時間16分、昼食・休憩等:1時間28分、正味所要時間:6時間48分、歩行距離:11.5q、累積標高差:±1,386m

 

 

 6:43 馬返し駐車場

  鳥海山の麓から未明の3時間のドライブを経て岩手山柳沢コースの登山口である馬返し駐車場に到達した。平日の早朝にも拘わらず駐車場には既に10台を超える車があり、次から次に到着する車が続いた。紅葉期を迎えて人気の山となっているようだ。麓から見上げる岩手山は晴れており上々の天気であった。山頂部の曇の流れ具合から、風がちょっと強そうではあったが・・・・。駐車場を出てキャンプ場の中を抜けて行くと鬼又清水が湧く登山口に出た。ボックスに登山届を投入してからミズナラの林の中を行く登山道に入った。よく整備された登山道を30分程行くと05合目の標柱の立つ地点に達した。ここまでは登山口からトラバース気味に緩やかな道を辿って来たが、ここからは進行方向を変えていよいよ岩手山東面を直登する道となった。05合から15分余り登って1合目の標柱に出合った。駐車場を出てから1時間ほど歩いてやっと1合目であった。この辺りから本格的な上りになるということであろうか。頭上に紅葉した森が拡がる景観を楽しみながら急斜面にジグザグを描く登山道を更に20分余り登って旧道と新道が分岐する25合目に出た。

 

 

 

 

〈馬返しキャンプ場の駐車場から岩手山を仰ぎ見る〉

〈緩やかなキャンプ場の斜面を登り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈登山届を出して登山口から入山する〉

 

 

 

〈鬼又清水の湧く登山口〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈昔、神官が登山者をチェックしたという「改め所」〉

 

 

 

〈ミズナラの美林の中を行く〉

 

 

 

 

〈0.5合目から急坂が始まる〉

〈色付き始めた岩手山東面を登り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈樹林越しに上方を望むと、紅葉した斜面が目に飛び込んできた〉

 

 

 

〈一合目の祠〉

 

 

 

 

〈この山には熊のほかに、カモシカも棲息しているという〉

〈豆腐岩と飛ばれる四角の巨石〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                              〈登山口から岩手山山頂方向を仰ぎ見る〉

 

 

 

 8:08 2・5合目

  2.5合目辺りまで上ってくると紅葉が一際鮮やかになってきて、いよいよ秋景色の中を行く山行という趣きとなった。2・5合目で分岐する旧道は足場が悪い砂礫の急坂というので我々は足場の良い新道を採った。登る程に紅葉は彩りと鮮やかさを増して行った。登山道は徐々に斜度を上げて行き、4合目辺りから上は溶岩流が固まった黒々とした火成岩の道で険しさも一際厳しくなった感じであった。それでも、紅葉の美しさに厳しさを感じることはさほどはなかったが、6合目を過ぎてハイマツが現れ、そろそろ森林限界を越えるかという所まで来て、下山して来る登山者が雨具を着込んでいることに気付くようになった。皆さん異口同音に「山上は風が強いよ」と教えてくれた。7合目に出る直前になって、それまでは青空であったのだが、急に樹々の葉を打つ雨音が聞こえるようになった。直ぐに止むかと期待をしていたが、ハイマツ帯に出ようかという所で、みぞれ混じりの雨となって、瞬く間に周囲をガスに巻かれてしまった。急遽、樹林の中に戻って雨具を着た。

 

 

 

 

 

 

 

              〈旧道と新道が分岐する2・5合目辺りから紅葉が鮮やかになった〉

 

 

 

 

 

〈色付き始めてブナの林を登り行く〉

〈3合目辺りから上が紅葉の盛りのようであった〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                              〈色鮮やかな紅葉の森を抜けて登り行く〉

 

 

 

 

 

〈紅葉した樹林に包まれた新道4合目〉

〈黄色のカエデが鮮やか!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                              〈紅葉した樹林越しに雫石町方面を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              〈5合目から6合目にかけて全山紅葉!〉

 

 

 

 

 

〈秋の訪れを象徴するナナカマドの紅い実〉

〈紅葉に包まれて旧道の通る尾根筋の岩場〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈紅葉したナナカマドの群落〉

 

 

 

〈登り始めて3時間で新道6合目〉

 

 

10:22 7合目(鉾立)

  旧道が合わさる7合目(鉾立)に出るとそれまでの秋色の世界から180度変わってガスに包まれた、強風が吹く無機質な世界となっていた。山頂部も望める筈なのだか、濃いガスのせいでそれは叶わなかった。それでも先に進むこととした。七合目から10分程で8合目避難小屋に着いた。多くの登山者の姿があり、皆さんそれぞれに山上の風の酷さに登頂を断念して下って来たことを話してくれた。気温もどんどんと低下しているようで、避難小屋の外壁に取り付けられた温度計は3℃を指していた。8合目避難小屋辺りの風はそんなに強くはなかったので、小屋で風を避けながら一枚重ね着をしてから更に先に進んでみることとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ガスに包まれた獅子頭が祀られた7合目の鉾立〉

 

 

 

〈俄かに天気が悪化してきた7合目〉

 

 

 

 

〈ガスに巻かれみぞれまで降る中を8合目へと向かう〉

〈8合目避難小屋〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                       〈強風まで吹き始めた中を9合目に向かって登り行く〉

 

 

 

10:58〜11:01 不動平

  8合目避難小屋から不動平に出ると、俄かに風は強さを増して襲いかかって来たかのようであった。風に耐えてじっと踏ん張っていても身体を持って行かれそうであった。濃いガスに包まれて不動平避難小屋も見えなかった。それでも何とか進めないものかと、山頂のある噴火口に向けて登って行ってみたが、風はなお強くなってきているようで、身の危険をも感じたので、ここで登頂を断念して引き返すことを決めた。八合目避難小屋に引き返して少し落ち着いてから、下れば天気は良い筈なので早々に下山の途に就くこととした。七合目まで下ってくると、山上はまだ嵐の世界であったが、下方の眺望は見事に開けていた。再び紅葉の世界に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

〈9合目の不動平で烈風に吹かれて、登頂を断念して下山することを決意〉

 

 

 

 

 

〈8合目避難小屋前で記念撮影〉

〈八合目避難小屋の全容〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                    〈七合目(鉾立)からややガスが薄くなった山頂部を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                〈7合目から眺望の開けた下方を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             〈色付いたブナの樹越しに北上盆地を望む〉

 

 

 

12:53〜13:01 新道5合目 

  5合目まで下ってちょっと遅いランチタイムを取った。ここの平穏さからは、山頂部直下からの烈風の世界を想像することはなかなかに出来ないのではと改めて思った。東北の秋の2千メートル峰はかくも難しい山なのだ。時折山頂方向から流れ下ってくるガスが、山上の業な世界の一端を垣間見させるようであった。下山道は太平楽な世界で、紅葉や北上盆地の大眺望を楽しみながらドンドンと下って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈紅葉が美しい!〉

 

 

 

〈新道5合目で遅いランチタイムを取った〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈北上盆地の先に北上山地が拡がっている〉

 

 

 

〈紅葉した登山道を下る〉

 

 

 

 

〈0・5合目まで下り、ミズナラの樹林を下る〉

〈登山道の東側に広大な自衛隊の演習場が拡がる〉

 

 

14:59 馬返し駐車場

  登山口の馬返しキャンプ場に下って岩手山を見上げると、山頂のガスは取れていた。これは瞬間的なことのようで、上空の雲はまだ強風に翻弄されている様子であったし、後刻見上げた岩手山は不気味な笠雲が掛っていた。かくしてドラマチックなこの日の山行に終始符を打った。

 

 

 

〈登山口に無事下山〉

〈山頂部から暫しガスが取れていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                        〈この日に午後遅く雫石方面から仰ぎ見た岩手山〉

 

 

 

〔山行所感〕

  鳥海山から岩手山に転戦して正解であったと思っていたが、まさかの山頂でのマジックのような天気の豹変に大誤算となってしまった。ことしも、秋の東北の山の難しさを早速に知ることとなった。残念至極ではあるが、岩手山にはまた改めて登ることとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

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