井尻谷の紅葉の踏査 井尻谷・吾妻山(1,238.4m)

広島県庄原市比和町

2015年11月5日(木)   チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈紅葉が見頃を迎えた井尻谷〉

 

 

 

西中国山地の峰々の紅葉も終盤となってしまい、もう紅葉を見る山はないものかと考えた。

そこで思い浮かんだのが、6年前の夏に辿った吾妻山南麓の井尻谷であった。

密林とも言える重厚な森が広がる谷筋であったが、そこが紅葉すればどんなに凄いだろうかとつい想像した。

秋の井尻谷についての情報はあまりないので、兎に角その踏査がてらチャコと出掛けた。

 

《山行記録》

井尻谷橋10:52・・・・11:11井尻谷第1(右岸→左岸)・・・・11:12(衣類調整)11:14・・・・11;152(左岸→右岸)・・・・11:16柵跡・・・・11:303(右岸→左岸(下手を渡渉)11:33・・・・12:054(左岸→右岸)・・・・12:24古い道標・・・・12;24渡渉(右岸→左岸)・・・・12:28小滝・・・・12:30雨具を着る(右岸へ渡渉)12:38・・・・12:40古い道標・・・・13:08車道・・・・13:13池の原(吾妻山国民休暇村)・・・・13:30キャンプ場(昼食)13:54・・・・14:07井尻谷ルート下山口・・・・14:31小滝・・・・14:35渡渉(左岸→右岸)・・・・14;514橋・・・・15:133(下手を渡渉)・・・・15:23柵跡・・・・15:242橋・・・・15:261橋・・・・15:35最奥の民家・・・・15:45井尻谷橋

〔総所要時間:4時間53分、昼食・休憩等:0時間34分、正味所要時間4時間19分、歩行距離:9.2q、累積標高差:±727m

 

10:52 井尻谷橋

  登山口は6年前と同じ南麓の森脇の集落にある井尻谷橋。その橋詰にある消防ポンプの収納庫脇の広場に車を停めさせてもらった。天気予報は「曇のち雨」と芳しくなかったが、曇空の下集落の奥に見える井尻谷を囲む山肌がきれいに紅葉しているのが確認出来た。この登山口に6年前には「吾妻山登山口」の立派な立て看板があったのだが、今はもうそれがなかった。山裾沿いに谷の奥に入っている車道を歩いて登山を開始した。最奥の民家の背後に回り込むと、井尻谷へ続く登山道の入口がある筈であったが、草茫々でそれが確認出来なかった。川沿いに行けば良い筈と、歩き易い所を草を掻き分けて歩いて行くと何とか登山道らしい踏み跡に出合うことが出来た。6年前には何の懸念もなく辿れた道であったが、今はもうかなり荒れていた。川の右岸に何とか続く踏み跡を辿って行くと、見覚えのある木橋が川に架かっているところに出た。

 

 

 

〈井尻谷橋詰からスタート

〈森脇の集落の背後から井尻谷が始まる〉

 

 

 

 

〈草茫々と荒れ果てた井尻谷入口〉

〈草を掻き分けて渓流沿いの踏み跡に出た〉

 

 

11:11 井尻谷第一橋

  井尻谷のルートは幾度も橋を渡ったり渡渉をしたりしながら谷の奥へ進んで行くが、先ずは第一橋に出合ったのであった。苔蒸した木の橋で左岸に渡ったところで衣類調整の小休止を取ったあと直ぐに第二橋で右岸に戻った。あとは渓流にそって踏み跡を辿って行った。あまり歩かれた道筋ではなく、時に渓流に中に消えている所もあったりはしたが、見失うこともなく迷えずに辿って行けた。第三橋までの約15分はひたすら渓流の右岸を辿った。第三橋はかなり朽ちて傾いていたりしていたので、そこは避けて下手を渡渉して渡った。その第三橋の手前辺りから渓谷の紅葉がきれいになってきた。第三橋を過ぎると、渓相も広々として良くなり、期待していた通りの素晴らしい紅葉に出合うことが叶った。残念ながら天気に恵まれず、曇天下の紅葉であったが、晴天下であればどれだけ美しかったかと思うと、またそのチャンスを作りたくなってくる。時折、足元の悪い所があったり、藪を漕ぐところもあったりはしたが、素晴らしい紅葉に歓声を上げながら牛歩で渓流を詰めて行った。

 

 

 

〈井尻谷第一橋で左岸に渡る〉

〈第一橋に続いて直ぐに第二橋を渡った〉

 

 

 

 

〈6年前にあった放牧用柵の扉がなくなっていた〉

〈平らかな河岸段丘はかつての放牧地跡か!?〉

 

 

 

 

〈花弁を閉じているがフシグロセンノウ(ナデシコ科)の花のようだ〉

〈谷を遡って行くと紅葉した樹林が見え始めた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈右岸の高みの森が良い色合いになっていた!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈朽ち始めた第三橋を避けて下手を渡渉した〉

 

 

 

 

〈荒れ気味ではあるが広々として気持ちの良い井尻谷〉

く標高700mのこの辺りから見事な紅葉の森をなった〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈秋色の井尻谷〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈右岸の斜面の紅葉は今絶頂!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈晴天下ならこの何倍に輝くのであろうか・・・!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈秋色の凝縮する森〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈紅葉した井尻谷の密林!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈秋色のグラデーション〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈渓流も秋色に染まる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈どこまでも紅葉が広がる奥深き谷〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈七色、十色・・・、カウント不能〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈藪の先にも紅葉の森が広がる〉

 

 

12:05 井尻谷第四橋

  第四橋まで登って来ると、そろそろ紅葉も終りかなと思ったりもしたが、まだまだその先にも見事な紅葉が続いた。ただ井尻谷の最奥部に迫ってきたので傾斜がきつくなると共に、長い間登山道の手入れがされていないこともあって笹が背丈より高くなって被さってきて難渋することが多くなってきた。第四橋から20分ほどで小さな滝に出合った。この辺りまで来ると、それまで樹林の中で気にならなかったいつしか降り始めていた雨が本格的になって来たようで、仕方なく滝の脇の沢で雨具を着込んだ。その小滝を高巻いて更に上部へと上って行くと、道はいよいよ深い笹に覆われるようになって、どなたかが付けてくれていた紅いテープがないと道を失いそうな状況となった。その深い笹の藪を雨の中随分と長い時間喘ぐように漕ぎながら進み、やっと車道に出た時には心底ホッとした。登山口から2時間以上もかかっていた。車道に出てそこから上の山上が深い霧に包まれているのに気付き驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

〈第四橋、登山口から一時間余で到達!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈羊歯と紅葉のコラボレーション〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈標高が高くなり紅葉の色合いも澄んできた感じ!〉

 

 

 

 

〈雨粒が落ちてくるようになり、紅葉の森も霞み始めた〉

〈錆びて朽ちた古い道標が現れた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雨の中ながらなお美しい紅葉が続く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈標高800mの谷の二股付近で、高みを巻きながら深い渓谷を俯瞰する〉

 

 

 

 

 

〈第四橋を過ぎると笹が被さった藪が多くなった〉

〈左側の井尻谷本流を登り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈紅葉の森は尽きないようである〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈小滝を高巻けばまた紅葉の森〉

 

 

 

〈小さな滝が現れた!〉

 

 

 

 

〈笹藪は深くなるばかり、雨に濡れた藪漕ぎは辛い!〉

〈登山口から2時間10分余で、やっと車道に出た〉

 

 

13:13〜13:54 池の原(吾妻山国民休暇村)

  車道から至近の池の原に出ると、そこは完全に霧に閉ざされて世界であった。濃霧で殆ど視界がなかった。この霧の中を吾妻山に登ることは諦めて、休暇村で昼食を取って下山することとした。雨が降り続けているので、雨を避けるためキャンプ場へ回ってそこでランチタイムをした。食後は、車道を辿って井尻谷への下山口に赴き、登り来た道を下ることとした。上りに難渋した藪漕ぎも、笹が下向きに繁っているので下りの方が断然に楽であった。雨に濡れた紅葉の美しさも捨て難いものであった。

 

 

 

〈濃い霧に巻かれた池の原、国民休暇村の建物が霧に霞む〉

〈池面も見えない程に濃い霧であった〉

 

 

 

 

〈霧と雨の中ながらも登山者に出会えた〉

〈紅葉狩りの観光客には惨い天気となったもの!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈キャンプ場ロッジの軒下を借りて昼食を取った〉

 

 

くガスに巻かれたキャンプ場の樹林〉

 

 

 

 

〈まだ紅葉が残る車道沿いの森〉

〈まだまだ鑑賞に耐え得る紅葉〉

 

 

 

 

〈車道から井尻谷への下山口〉

く高みの巻き道から井尻谷の樹林を俯瞰〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雨に濡れたの紅葉の色合いもなかなかのもの〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雨の深い森〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈藪漕ぎが続く井尻谷上部〉

 

 

 

14:51井尻谷第四橋

  第四橋から下は紅葉がその美の絶頂を迎えていたが、厚い雲に覆われて薄暗くなってきた上に森の中にもガスが巻き始め、残念ながらその美しさを隠してしまっていた。それでも、上りに見たその美の余韻があって、険しい道筋ではあったが、そこを足取り軽く下り行くことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

〈第四橋を渡り下り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈霧の淀む井尻谷〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雨に閉ざされた井尻谷〉

 

 

 

〈紅いテープに導かれて〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈第二橋〉

 

 

 

〈朽ちた第三橋〉

 

 

15:45 井尻谷橋

  森脇の集落に下ってみると、備北の天気は完全に悪化しているようで、雨が降り続き、この辺りまでガスに包まれんとしていた。車を停めた消防ポンプ車の収納庫脇の広場で濡れた雨具や登山道具を整理して、早々に帰路に就くこととした。

 

 

 

〈荒れた井尻谷入口〉

く森脇の集落へ戻って来た〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈井尻谷橋はもう直ぐ〉

 

 

 

〔山行所感〕

  秋の井尻谷を踏査して、思った通りにそこの紅葉は見事であることを知ることができた。6年間訪ねていなかった井尻谷であったが、もう少し人々の往来があるかと思っていたが、今はもうすっかり忘れ去られようとしているかのようで、とても残念に思った。素晴らしい紅葉と廃道寸前の登山道、このミスマッチが何とかならないかと思う。先ずは歩く人々がいなければ道が廃れてしまうのは自明のこと。何とか歩ける今、出来るだけ多くの人に歩いてもらいたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

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