今年は様変わりの大山南壁下を歩く 伯耆大山 一ノ沢・二ノ沢

鳥取県西伯郡大山町

2016年5月22日(日)  チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈大山南壁を見上げるお花畑〉

 

 

 

今年も大山南壁直下の景観とお花畑に会いたくなって日帰りで出掛けてきました。

今年は花々の花期が随分と早いので、大山の花々も同様ではという懸念を抱きながらの探訪でしたが、

入山して直ぐに植物の様子が例年と随分違っているのに気付き、

更に山に分け入ってみて例年5月にも潤沢に残る雪渓が、今年は完全に消滅していることに驚愕してしまいました。

今年は全く様変わりした大山南壁下の逍遥となりました。

 

《山行記録》

一ノ沢入口9:43・・・・10:18治山管理道終点10:25・・・・10;38一ノ沢・・・・10:43一ノ沢枝沢・・・・11:12一ノ沢枝沢源頭部(昼食)12:03・・・・12:24二ノ沢左俣・・・・12:57二俣13:00・・・・13:15(休憩)13:31・・・・13:35治山管理道出合・・・・13:51二ノ沢入口・・・14:03一ノ沢入口 

〔総所要時間:4時間20分、昼食・休憩等:1時間17分、正味所要時間:3時間03分、歩行距離:4.6q、累積標高差:±480m〕

 

9:43 一ノ沢入口

  一ノ沢入口の環状道路脇の駐車場に車を停めて治山管理道から入山した。例年路傍に咲いているタチツボスミレやミヤマキケマンの姿がなく、イタドリも随分背が高く、更にはもうタニウツギが開花しており、いつもに比べて随分と季節が進んでいると感じた。治山管理道の終点部に達すると、例年はダイセンキスミレが見られるのであるが、今年はその姿がなく早々に姿を消してしまったようだった。そんな雰囲気の中、管理道の終点部の崩落する沢を高巻いて渡り、最終部のブッシュを掻き分けて一ノ沢の源頭部に出た。

 

 

 

〈一の沢入口付近の治山管理道車止め〉

〈タニウツギが咲き始め〉

 

 

 

 

〈ニガナ〉

〈クルマムグラ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈行く手に南壁が見えてきた〉

 

 

 

〈治山管理道を登り行く〉

 

 

 

 

〈治山管理道終点、この先は沢の崩落で道路は断絶している〉

〈見上げれば黒々とした“たけのこ岩”が聳える〉

 

 

10:38 一ノ沢出合

  一ノ沢頭頭部に出ると、崩落を続けてる南壁の生々しい景観はいつもながらに圧巻であった。とは言えここの良き景観には落石という危険が潜んでいるので、早々にその沢を渡ってその右手奥から始まる枝沢の入口へと赴いた。一ノ沢の上部で東側に分岐している枝沢に入るには、間にある小尾根を越えようとするとその険しさと粘っこいブッシュの仕打ちが厳しいので、沢沿いに二つの高い堰堤を越えて行かねばならない。その枝沢に入って驚いた。例年なら狭い沢を残雪が埋めているのに、今年はそれが完全に消えていた。とは言え、そこを歩くのは難なきことであったのは幸いであった。二つの堰堤の右岸側を巻いて攀じ登って上に出た。

 

 

 

 

 

 

 

〈一ノ沢の源頭部に出る〉

 

 

 

 

 

〈ダイセンクワガタ〉

〈ヤマハタザオ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈崩落を続ける一ノ沢の源頭部を急ぎ横断する、ヘルメットは必携!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈一ノ沢枝沢に入る〉

〈例年は雪渓が残るが今年はそれがない〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈更にもう一つ堰堤が待つ、ここも右岸側を巻いて登る〉

 

 

 

〈この堰堤手前の崖を巻き登る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈堰堤を越えると枝沢の源頭部の光景が広がる〉

 

 

〈ブッシュを漕いで慎重に沢へと下る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈崩落を続ける沢の中に草付きの台地が残る〉

 

 

 

11:12〜12:03 一ノ沢枝沢源頭部(お花畑)

  枝沢の源頭部に出ると、崩落を続ける沢の中にオアシスのような草付きの台地がある。そこは落石を避けることが出来るので、沢の中にあって休憩場所として絶好のところである。その台地上は素晴らしいお花畑となっていて、険しい登攀をしてきた登山者を楽しませてくれる。今はイワカガミが満開であった。これもまた例年に比べて花期が早いようであった。レンゲツツジやアカモノも咲き始めていた。もう既に散ってしまった花もあった。ここで昼食を摂ってから、二ノ沢左俣との間にある小尾根を藪を漕いで越えて先に進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

〈今、イワカガミが満開!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈好対照の南壁とお花畑〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈一面イワカガミの草付きの直ぐ隣は崩落する沢〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈イワカガミの多様な色合い〉

 

 

 

 

 

 

〈レンゲツツジが咲き始め〉

〈今は、イワカガミがお花畑の主〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈どこを見てもイワカガミが広がっている〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈アカモノ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈草付きの台地の脇から崩落を続ける一ノ沢枝沢の源頭部を見上げる〉

 

 

 

 

 

〈一ノ沢から二ノ沢に越える乗越へのブッシュに分け入る〉

〈ブッシュの中にスミレの群落があった〉

 

 

12;24 二ノ沢左俣出合

  二ノ沢左俣に出て、また大驚愕した。例年この季節には沢筋はほぼ雪渓に覆われて、雪の状態次第ではアイゼンが必要なのだが、今年はその雪がほぼ皆無で沢は長々と続く瓦礫の溝と化していた。こんな光景に出会うことは全く想定出来ていなかった。むしろここでは雪渓に芽生える新鮮なフキノトウを期待していたのであるが、これは夢に終わってしまった。それとともにここでは支沢に咲くサンカヨウの群落を楽しみにしてきたが、これももう散った後であろうと諦めかけていたところ、支沢の最後まで雪が残っていたと思われる日陰の一角に一塊だけ花を付けた群落を見付けることが出来た。雪のない荒れた沢を下ることは難儀な仕事であった。

 

 

 

 

 

 

 

〈例年はまだ雪渓だが、今年は雪のない二ノ沢左俣に出た〉

 

 

 

 

 

〈二ノ沢左俣の下流部を見下ろす〉

〈ガレの底に微かに雪が残っているようだ!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈昨年517日の二ノ沢左俣には雪渓が広がっていた〉

 

 

 

 

 

〈今年は早々にブッシュが繁り始めた沢床〉

〈ヤマシャクヤクを見付けてホッとする!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈支沢の日陰に残っていたサンカヨウの花〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雪のないガレた沢を下る〉

 

 

 

12:57 二俣

  二ノ沢左俣と右俣が合流する二俣へと下り、例年であればここから右俣をゴルジュまで遡るのであるが、今年は雪渓が消えて沢が荒れていることからそれを取り止めて下山することに方針変更をした。そうなれば、後は二俣から暫しブッシュの中の踏み跡を辿り、治山管理道に出れば、そこを淡々と下るだけであった。途中で大休憩も取りながら、やはり例年よりずっと早く季節が進んだ感のある二ノ沢を下った。

 

 

 

〈二俣から二ノ沢右俣を見上げる〉

〈二俣からみた二ノ沢左俣〉

 

 

 

 

〈二俣から二ノ沢左岸のブッシュの中を下る〉

〈治山管理道に出て二ノ沢の上流部を〉

 

 

 

 

〈ツリバナ〉

〈二ノ沢入口に下山〉

 

 

 

 

〈大山環状道路〉

〈キンラン〉

 

 

14:03 一ノ沢入口

  二ノ沢入口からは大山環状道路を歩いて車を停めてあった一ノ沢入口へと戻った。ちょうどほぼ同時に駐車場に戻った地元の方にお聞きしたところ、今年の大山の花々は例年比で2週間程早いという。夏のユートピアのナンゴククガイソウなども同様となる懸念があり、登山者は花期情報に注意する必要があろうとのことであった。下山後はいつものように鍵掛峠と御机集落から大山南壁を遠望してから帰路に就いた。

 

 

 

〈一ノ沢入口から南壁を見上ける〉

〈一ノ沢入口〉

 

 

 

 

〈下山後に鍵掛峠から大山南壁を仰ぎ見る〉

〈御机集落から大山南壁を遠望する〉

 

 

〔山行所感〕

  今年の冬は山に入ることが出来なかったので、山の積雪量の実感がなく、この時期の大山の二ノ沢西俣の雪渓がなくなっていることなど想像もしていなかった。それだけに、雪のない沢を見て、見知らぬ異文化に突如出会った時のカルチャーショックに似た心情を味わった。まあこれも季節を追う山旅の醍醐味とも言え、また旅の生活を生き生きとしてくれるものでもある。大山にはいつ来ても、大いなるものが待っているように思う。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

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