初めての重信川源流域の渓谷探査行  阿歌古渓谷

愛媛県東温市

2016年5月31日(火)    門久単独

 

 

 

 

 

 

〈林道終点近くからの阿歌古渓谷の眺望〉

 

 

 

「阿歌古渓谷」(“あかごけいこく”と読む)、

愛媛県の高縄半島にある東三方ヶ森(1,232.7m)へと登山ルートを調べている時に初めて出会った地名である。

東温市のホームページによると、

重信川の上流に位置し、原生林と奇岩碧流に恵まれたところ、秋にお勧めとある。

いつかここを抜けて東三方ヶ森に登ってみたいと思うが、

この日は3時間ほど空いた時間を利用して、その下見とウォーキングを兼ねて渓谷に延びる林道を歩いてみた。

 

《山行記録》

沈下橋13:08・・・・13:58林道終点13:59・・・・14:42沈下橋

〔総所要時間:1時間34分、休憩等:0時間01分、正味所要時間:1時間33分〕

 

13:08 沈下橋

  渓谷への入口は東温市山之内地区の木地集落。国道11号線の「新横河原橋」交差点から重信川源流域に向かって12q余遡ったところにある。かつては「酒だる村」とアミューズメント施設があって賑わっていたというが、今は野犬が飛び出してくるような鄙びた所となっている。そこから細い林道を北へ1qほど遡って行くと川を横切る沈下橋に出合った。この手前に車を置いて、更に奥へ歩いて行くこととした。

 

  

 

 

〈阿歌古渓谷への入口の木地集落〉

〈かつて観光客で賑わった「酒だる村」の建物〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この沈下橋の手前まで車で入った〉

 

 

〈沈下橋詰を渡った地点が林道の起点〉

 

 

  沈下橋を渡った所が林道「阿歌古谷線」の起点であった。そこからダートの道が山奥へと続いていた。この山域は花崗岩質の土壌の上に四国特有の険しい地形をしており、大雨災害が頻発する所という。この林道が通行止めになっているのは珍しいことではないというが、この日は幸いにもどこにもそうした情報はなかった。林道を歩き始めて間もなく川の流れを見ると、水は清く、早くも奇岩の景観が現れた。険しく急な流域故に次々に随分と高い堰堤や大きな砂防ダムの堤が現れた。山肌にはまだ新しい土石流の爪跡もあった。この日の水は澄み切っていたが、荒れれば大変な激流になることは、河床に転がる大きな岩や谷間の各所に残るその痕跡を見れば容易に想像出来た。

 

 

 

 

 

 

 

〈林道は重信川源流の流れに沿って奥地へと延びる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈早速に奇岩の景観が現れる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈源流部の流れは澄み切っている〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈流域は険しい地形で幾つもの堰堤が現れる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈林道脇に卯の花が咲く〉

 

 

〈砂防指定地の看板が立つ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大規模な砂防ダム(阿歌古谷第4堰堤)〉

 

 

〈大きな土石流の爪跡が残る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈荒れた後、今は静寂の中にある流れ〉

 

 

 

〈土砂が敷き詰められた河床が続く〉

 

 

  渓谷の中ほどまで遡って行くと、道幅が幾分狭くなってきた感じとなり、それまでは従順に流れに沿ってきたが、俄かに地形が険しくなってきたこともあって、流れを離れて高度を上げて行き、やがては左岸の山中にジグザグを描いて上り始めた。上り始めると高度はドンドンと高くなって行き、いつの間にか瀬音や滝の落ちる音が遥か下になって行った。東温市の案内にあったように、原生林は見事に発達しており深い森の中の眺望は殆ど開けず、ただ深い森の中にいることだけが意識出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈中間点を過ぎ、道幅がやや狭くなった〉

〈河岸を離れジグザグを描き高度を上げる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈屈曲点手前で振り返ると谷の奥のピークが垣間見えた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈険しく深い谷間が続く〉

 

 

 

 

〈コガクウツギ〉

〈高度を稼ぎ、木間に稜線部が見え始めた〉

 

 

  高度が随分上ってきたので、そろそろ終点部かと思うものの、こうした時の常でなかなかそうはならなかった。濃密な原生林の中を行くうちに、深い谷間や付近の山域を眺望出来る一角に出た。そこで自分が如何に深い森の中にいるか、如何に険しい地形の中にいるかを理解出来た。まだ阿歌古峡谷の中程にいる筈であるので、この渓谷は相当に大きなものであることも分かってきた。そこから程なく林道の終点に着いた。終点の杭に記されたところでは、林道の延長は1.85qとのこと。観察しながら、ゆっくりと1時間程の時間を掛けて歩いて来たことになる。

 

 

 

 

 

 

 

〈ちょっと一息、安堵するような空間〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈断崖に立つ樅の大木群〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈パッと空間が開いて、深い谷間が目の前に現れた!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈重信川最奥部の谷間を俯瞰する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈林道阿歌古谷線の終点〉

 

 

〈全長1.85qを完歩〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈その先は山道となって阿歌古渓谷へと下っていた〉

 

 

 

13:58〜13:59 林道終点

  林道終点から先には檜林の中のザレ場を渓谷へと下っていく山道が続いていた。時間があれば、かつて小学校まであったという渓谷まで行ってみたかったのであるが、この日はここで時間切れぎりぎりであったので、先は他日を期すこととして引き返すこととした。復りは一度通った道で大して難しい所でもなかったので、往きに比べて随分と短い時間で歩けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈登り来た道を引き返す〉

〈高い堰堤を水が流れ落ちる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈奇岩の絶景も見ることが出来る〉

 

 

14:42 沈下橋

  一時間半余の阿歌古渓谷のウォーキングを無事に終えて車を置いた沈下橋の袂へと戻った。この阿歌古渓谷は東三方ヶ森へのルート上の単なる通過点にするのは勿体ない所と思えた。東温市の案内にあるように、ここは秋の紅葉の頃にも改めて訪ねてみたくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

〈沈下橋に戻った!〉

 

 

〔山行所感〕

  初めて訪ねた阿歌古渓谷、ここの重厚な原生林は驚くべきものであった。渓谷は十分には歩いていないのでその真価の程は分からないが、ここは奇岩碧流に恵まれた隠された一大渓谷かも知れない。東三方ヶ森登山とは別に機会が得てまた歩いてみたいと思う。その時まで、大きな災害がないことを念じつつ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

(阿歌古渓谷の深い谷の中ではGPSがうまく機能しないようだ。ご覧の通り、ログが跳ねまくっている。

これでは正しい距離などのデータは得られない。四国などの深い谷ではこうした経験をすることが多い。

GPSの機能の限界のようだ。)

 

 

 

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